看護師というアイデンティティ

こんにちは。治験のおねいさんです。


唐突ですが、よく「看護師からCRCに転職して辛かったことを教えてください」と質問を貰います。
それに対して『自分が看護師ではなくなるということを受け入れたこと』とお答えしていますが、今回はそこについて私の思いをブログに書き綴ってみようと思います。


そもそも私は看護師時代も、CRCになった直後も“私のアイデンティティが看護師”だなんて思っていませんでした。
“私のアイデンティティが看護師”ということに気が付いたのは、CRCの実務を教わり始めたOJTの頃となります。


医療行為が一切出来ないSMOのCRC。
上からは利益の話なんかが出てくる、会社員。
治験は製薬業界となり業界も異なる。
なんとなく、看護師時代CRCは身近な存在だと思っていましたが、実は全く違う職種。
働いて初めて、看護師とCRCは全く違うことに気が付き、戸惑ったことをよく覚えています。


CRCと看護師が全く違うことに気がついたのであれば“そのままCRCに順応していくだけ”と思っていましたが、私はそこが上手くいきませんでした。


看護師以外の立ち回りが分からない。
立ち回り、というか思考回路と言いますか。


お局との上手い付き合い方、患者さんとの関わり方、記録の書き方、患者状態のアセスメント、休みの日の過ごし方、友達との付き合い方、お金の使い方etc
仕事だけでなくプライベートも含め、私は気づかないうちに看護師として過ごしていたんだと気がつきました。


それもそうですよね。
看護師になる為、看護師とはどういうものか教わり、実習でリアルな看護師の立ち振る舞いを見て、18歳から4年間看護大学で過ごし、そこから看護師として働き、休みが不規則な為看護師の友達とばかり遊んできたのですから、そりゃ仕事もプライベートも看護師となっていくでしょう。


ここで少し話が変わります。
この記事を書くぞ、と決めた時は“気が付かない間に自分のアイデンティティが看護師になっていた”と思っていました。
でも、記事を書きながら思い出したことがあります。
それは看護学生時代の授業の一コマでの出来事でした。


何の授業かの座学で、ふと先生が言いました。
「国家試験に合格し看護師になったらプライベートでの発言も『看護師が言った』と捉えられるから気をつけなさい」と。


何気ないこの言葉に、看護学生の私はすごく戸惑ったことをよく覚えています。
「え?私、プライベートでも看護師でいなきゃいけないの?看護師から離れられないの?」と。
その授業を受けた日、帰りの電車や家に帰ってから【プライベートでも自分が看護師に見られること】について何か悶々と考え込みました。


先生が言った意図としては、「友達に医学的な相談を受けたときに何気なく大丈夫なんて言うと『看護師が言うなら大丈夫か』となってしまうよ」ということだったと記憶してます。
ごもっともなんですが、私は“なんか嫌だ”と強く思ったんですよね。同じ経験の人いませんかね?


確かに先生が言ったこと以外でも、何か事件を起こしてしまえば看護師として起こした事件でなくても【看護師】って報道されてしまいますよね。
国家資格って私がどんな人間であろうと【看護師】にしてしまう最強フィルターのようです。


世間からも【看護師】フィルターをつけられ、自分自身も看護師に染まってしまうのだから、そりゃ“私のアイデンティティは看護師”となってしまいますよね。


ただ、CRCになって1年頃から“私のアイデンティティは看護師”という概念は崩れてきたように思います。
それに対しても「何がきっかけですか?」とよく聞かれますが、多分Twitterのおかげだと思っています。多分ね。


TwitterにはCRCのプロがいる。CRCってこういうものなんだ、こういう風に考えるんだ、って学ぶことができる。
Twitterには看護師として働いていない看護師資格保有者がたくさんいる。彼女らは看護師に囚われず、でも看護師をうまく使って自由に楽しそうに働いている。
Twitterには過去の私と同じく看護師に囚われている看護師もいる。自分を客観的に見てるようで、一緒にもがく気持ちだった。


会ったこともない、一方的に知っている人だけも多いTwitterのフォロワーの思いに触れて、多分私は看護師の殻を破れた。あとは、仕事で看護師以外とたくさん接したことも要因かもですが。


“私のアイデンティティは看護師”ということにCRCになってから気が付き、とても苦しい思いをしましたが、結果として気が付いたから看護師の殻を破って今の私がいる。
今、本当に楽しいんですよね。
どんな仕事に対してもフラット(という表現でいいか分からないけど)な気持ちで働けてる。私は看護師だから、とかそういう思いなく色んな仕事が出来ているというか。


“看護師”に囚われている看護師さん。
看護師として働こうと、そうでなかろうと。
何とかもがいて看護師の殻を破って欲しい


ここまで書いてきておいてなんですが、もしかしたらこんな問題に直面するのは人に染まりやすい私だけかもという気がしてきました。
同じ問題に直面した人や直面している人をサポートしている人等々、私の経験が誰かに届いたら嬉しいです。
では、また。